SBヒューマンキャピタル株式会社は、人材採用の課題解決を支援する総合人材サービスを展開しています。同社の強みは、転職サイト「イーキャリア」や人材紹介ポータルサイト「イーキャリアFA」など、IT技術を活用した採用支援サービスを提供している点です。また、採用プロセスを効率化し、企業の負担を軽減する採用アウトソーシングや人材紹介サービスなども行っています。これにより、企業の採用活動をサポートし、優秀な人材確保を実現します。

今回は「キャリオク」アプリ版の開発を振り返り、制作当時のお話や、出来上がったネイティブアプリについてのご感想などをお伺いしました。

貴社のサービス「キャリオク」の詳細や強みについて教えてください。

坂本：「キャリオク」は、業界初のオークション形式を採用した転職サイトとして、企業と求職者の新たなマッチングを提供しています。企業が求職者のスキルや経験に応じて「入札」を行うスタイルを採用しているため、求職者は自身の市場価値をリアルタイムで把握でき、企業側は採用ニーズに合致する優秀な人材を効率的に見つけることができます。

企業が求職者を選ぶ時代から、現在では企業が求職者に選ばれる時代となり、また労働人口はさらに減少することが予測されています。この逆転の現象によって、同じスキルセットでも人材不足などの要因で求職者の価値が流動的になっており、求職者が自分自身の価値を評価するのがさらに難しくなってきていると考え、オークション制度を用いた新しい転職のサービスを通じて、求職者のサポートを行っています。給与や条件がオープンに提示されるため、求職者にとって企業からの評価がわかり、納得感のある転職活動が可能です。

また、企業側もこの制度によって採用活動がよりスムーズに進められる強みがあります。転職サービスに登録しているもののアクティブに活動していない層は一定数あり、タイムリーに人材を確保したい企業としてはノンアクティブな求職者にあたることはタイムロスになってしまいます。その点、オークション制度で自身の経歴を公表している方には「今、転職活動をやっています！」という転職意欲の高い方が多いため、キャリオクのオークション利用者は活動中の求職者の割合が高いのが魅力です。

副次的な要素にはなりますが、自分の経歴をオークションに出すので、スキルの高い求職者が集まりやすくなったり、優秀な人材に出会える可能性が高まると考えています。

求職者は複数の企業からの入札を比較しながら最適な選択をすることが可能ですので、転職活動の効率が格段に向上するでしょう。

「キャリオク」は、従来の転職サービスにはない革新的な仕組みで、企業と求職者の双方に新しい価値を提供しています。

坂本様はどの時点からキャリオクに関わってこられたのでしょうか。

坂本：立ち上げメンバーとして、最初から現在までキャリオクに長く携わっております。
元々、新卒で入社した際にはエンジニアとしての役回りを担っていたのですが、そこから徐々に上流の部分も任されるようになり現在に至ります。
昨今のエンジニア人材不足もあり、担当範囲を年々広げつつ愛着をもってキャリオクを担当しております。

今回キャリオクのアプリ化が実現した経緯について教えてください。

坂本：キャリオクのサービス開始当初から、アプリの開発は私たちが「やりたいこと」の一つとして掲げていました。ただ、その時点ではアプリ開発の重要度は高かったものの、緊急度についてはそれほど高くないという判断をしていました。よって他の重要なタスクを優先する中で、アプリ開発の計画はありつつも具体的な着手には至りませんでした。

しかし、直近の1～2年で状況が大きく変わりました。転職市場全体の変化やユーザーのニーズの多様化、特にスマートフォンを使った求職活動の増加など、外部環境の変化により、アプリの必要性が一段と高まってきたのです。こうした背景から、アプリ開発の緊急度が急速に高まり、満を持してプロジェクトが動き出すことになりました。

緊急度が上がった背景について教えてください。

坂本：特筆すべき点が大きく2つありました。
1つ目は、求職活動において重要なメールが適切に届かず、選考に影響が出ている点です。この問題は、選考者自身が迷惑メール設定を行った結果メールが届かなくなるケースや、フリーメールの自動振り分け機能のアップデートによる影響など、複数の要因が挙げられます。

2つ目は、ウェブシステムではなく、ネイティブアプリを中心に活用する若年層への新しいタッチポイントの必要性です。通知や連絡手段としてアプリしか使わない層が今後さらに拡大する見通しであることから、サービスを適切にお届けする手段としてアプリ開発が急務となりました。

キャリオク　アプリの通知デザイン（Figma画面）

アプリを開発することが決まった際に、最初に困った点はどんなところでしたでしょうか。

坂本：社内のリソース不足とアプリ制作における知識・経験がほぼないこと、この二つの課題がありました。
解決するためには、アプリの開発を外注にするか内製で行うかを判断する必要がありましたが、今回は緊急度も優先度も高いため外注で進める方向ですぐに決まりました。次に外注する先をどうするか、何を基準に選べばよいのかで頭を悩ませました。色々と検討した結果、今回は「実績」「価格」を軸として相見積もりを進め、最終的にHumAIn社へご依頼しました。

上記の判断以外にも「人の良さ」の後押しもありました。プロジェクトが動く前、相見積もりをする段階では、パートナーとなる企業の全ては見えませんし、わかりません。そのため、その時点でのやり取りをしていた方々も重要な指標になりました。HumAIn社のみなさんにはとても親身に相談にのっていただき、初めてのアプリ開発ですが都度不安や疑問点を解消しながら進められました。

実際にアプリ開発が始まり、弊社とのやりとりなどの評価はいかがでしょうか。

坂本：弊社からコミュニケーションツールはSlackを希望させていただき、問題なくコミュニケーションが取れたと振り返っています。
特にアートディレクターの方からのレスポンスやデザインの修正など全般的にスピーディーで好印象でした。また週次で行っていた定例会議もしっかり事前にアジェンダの共有があり、それとは別に弊社側から質問や疑問を投げかける時間も確保いただけて安心でした。
細かい部分にはなりますが定例会議の頻度も適正であるか等まで常に気にかけていただき、HumAIn社のメンバーのホスピタリティを感じました。
ただし、ブリッジエンジニアとのコミュニケーションには言語の壁で難しさがありました。HumAIn社のPMの方が大部分はまとめてくださっていましたし、事前にブリッジエンジニアが入る旨も弊社側で承諾していたので、それ自体への不満などではないのですが・・・。

キャリオク　サービスページ　～メリット～

ご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした。ブリッジエンジニアとの協力体制をしっかりと見直して参ります。

HumAIn社のサポートで助かったなと感じた工程があったとお聞きしました。

坂本：アプリを公開するためには、開発だけでなく「アプリ審査」という工程をクリアする必要がありました。この審査では、アプリの動作確認やガイドラインへの準拠が求められます。審査基準をクリアすれば公開が可能ですが、基準に違反すると却下され、是正後に再申請する必要があります。私たちにとってはアプリ開発も審査対応も初めての経験で、どこから手をつければ良いのか全く分からない状態でした。そんな中でも、HumAIn社の豊富な経験と知識に支えられ、スムーズに進めることができました。細かな点まで丁寧にサポートしていただき、本当に頼もしかったです。

またアプリ開発においては、もともと「キャリオク」で使用していたキャリアシートの項目数が多く、その複雑さが課題となっていました。しかし、HumAIn社の皆さんはその仕様をしっかり理解した上で、UI・UXデザインを工夫して、使いやすい形でアプリ内に落とし込んでくださいました。当社にデザイン面の知見が少なかったため、デザインを丸ごとお任せできたのは非常に心強かったです。

さらに、アプリ完成後には、ボタンやアイコンなどのデザイン素材データも一緒にご提供いただきました。これらの素材は、今後のアプリ改善や新機能追加の際に活用できるため、大変ありがたいサポートとなりました。HumAIn社の協力のおかげで、無事にアプリ公開を迎えることができたと感謝しています。

出来上がった貴社のサービス「キャリオク」のアプリに関しての評価はいかがでしたか。

坂本：100点満点中、80点と回答させていただきます。というのも、まず第一に冒頭でもお伝えしたとおり私自身初めてのアプリ開発でしたので、評価する比較対象がありません。また、他社さんのアプリと比較した際にまだまだ我々でできることが山のようにあるという点から、至らなかった点数があると感じています。ただ、この差分はこれからの向上性・発展性があるということですのでポジティブに捉えています！今回はスピード感と価格を重視していましたので、その点をしっかり汲んで伴走してもらったHumAIn社にはもちろん感謝しています。

更にもう一点感謝したいのが、弊社側で細かく定義できていなかった挙動や仕様の部分を、HumAIn社の開発で変わりに整えていただけたことです。本来は初期のフェーズである要件定義の時点で弊社側からお伝えすべきだと思うのですが、その時点で伝え切れなかった部分も開発側で対応いただけました。色々とご無理も言ったと思いますが、みなさんに気持ちよく対応いただけたなと振り返ります。

アプリがリリースされて1ヶ月に満たないですが、ユーザーの反響は何かありますか。

坂本：リリース直後ということもあり、まだ数字で追えている範囲は限られていますが、会員登録や求人への応募といった重要な指標はしっかり確認できています。利用者が増えるにつれて、バグの報告などが寄せられる可能性もあると想定していましたが、現時点ではそうした報告はなく、ひとまず安心しています。

今後は、求職者であるユーザーがさらに使いやすく感じられるよう、アプリを活用しながらサービスの質を向上させていきたいと考えています。リリースをスタート地点として、改良を重ね、より良いサービスを提供できるよう取り組んでまいります。

最後に今後のキャリオクアプリ版の展望についてお聞かせください。

坂本：約6年前に業界初のオークション形式転職サイトとして誕生した「キャリオク」。今回「キャリオクアプリ版」を開発したことで、これまで以上に求職者にとって身近で利便性の高いサービスを提供できるようになりました。

キャリアシートを一度作成すれば、企業からのオファーやお知らせをスマートフォンでリアルタイムに受け取ることが可能になり、いつでもどこでも転職活動をスムーズに進められます。この利便性を最大限活かすため、アプリ版の認知度を高めるマーケティングや広告戦略にも注力していきます。

また、従来のウェブ版で得られた満足度を維持しつつ、アプリ版ならではの工夫を加えることで、より良い転職活動をサポートできるよう進化を続けます。求職者の声をしっかりと反映しながら試行錯誤を繰り返し、継続的なサービスの改善に取り組んでいきます。

私たちは「企業と働き手が対等であるべき」という考えを大切に、求職者一人ひとりの経験や能力に見合った適切な待遇が得られるよう、今後も全力で取り組んでまいります。

キャリオク アプリ版

【App Store】
https://apps.apple.com/jp/app/id6737322103

【Google Play】
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.kyarioku.app&hl=ja